メニュー

あなたの胃に、ピロリ菌はいませんか?〜胃の中に潜む、小さな菌の話〜【2026年5月号】

[2026.04.19]

かわいらしい名前とは裏腹に、ピロリ菌は胃がんの最大のリスク因子として世界的に知られています。日本人の少なくとも3,000万人以上が感染していると言われており、とくに50歳以上の方は感染率が高いと言われています。「自分には関係ない」と思っていても、実はすでに感染しているかもしれない——それがピロリ菌の怖いところです。

今月は、実は身近なピロリ菌についてわかりやすくお伝えします。

 

ピロリ菌って何ですか?

正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」。胃の粘膜に住みつく細菌です。 胃の中は強い酸(胃酸)があるため、昔は「菌が生きられる環境ではない」と考えられていました。ところが1980年代にオーストラリアの研究者がその存在を発見し、医学の常識を覆しました。

ピロリ菌は胃の粘膜に炎症を引き起こし、長期間にわたって放置すると胃潰瘍や、場合によっては胃がんのリスクを高めることがわかっています。

ちょっと面白い発見の裏話

ここで、ピロリ菌発見の「舞台裏」を少しだけご紹介します。
見つけたのは、オーストラリアの病理医ウォーレンと若い研修医マーシャルという2人の医師でした。最初、彼らは「胃に細菌がいるはずがない」という周囲の常識や、なかなか培養できない現実に苦戦していました。

ところがある年のイースター休暇前、いつものように胃の組織から菌を培養しようとしていたところ、休暇のせいで培養皿をインキュベーターに入れっぱなしにしてしまいます。
「もうダメかな」と思いながら連休明けに確認すると、そこには小さなコロニーがポツポツ…。よく見ると、あの“らせん状の菌”がびっしり。
「うっかり長く置きっぱなしにしたおかげ」で、ピロリ菌の培養に成功したと言われています。まさに“偶然の大発見”でした。

それでも、「本当に病気の原因なのか?」という疑いはなかなか晴れません。
そこでマーシャルは、かなり無茶な方法に出ます。なんと、自分で培養したピロリ菌をコップに入れてゴクッと飲み込んだのです。「自分で菌を飲んで胃炎になれば、病原性の証拠になるはずだ」と考えたからです。

数日後、彼は強いムカムカ、嘔吐、胃の不快感に苦しみ、内視鏡検査では激しい胃炎と、胃粘膜にびっしり付着したピロリ菌が確認されました。その後、抗菌薬で症状は改善しますが、この“命がけの自己実験”によって、「ピロリ菌が胃炎を起こす」ということが世界に強く知られるきっかけになりました。
この功績が評価され、2人は後にノーベル賞を受賞しています。

今では当たり前のように「ピロリ菌を調べて、除菌で胃がんリスクを下げましょう」とお話ししていますが、その背景には、

  • うっかり長く培養した“偶然”

  • 自分で菌を飲むという“無茶なチャレンジ”

という、かなりドラマチックな歴史があるのです。面白いですね。

 

ピロリ菌にはどうやって感染するの?

主な感染経路は「口から口へ」の感染(経口感染)です。かつては衛生環境が整っておらず、井戸水や生水を通じた感染が多かったと考えられています。また、赤ちゃんへの口移しでの食事も感染経路のひとつとして知られています。祖父母や親が口でかみ砕いた食べ物を赤ちゃんに与える習慣が、知らず知らずのうちにピロリ菌を伝えてしまっていたのです。

こうした背景から、現在50〜60代以上の方に感染者が多い傾向があります。現代の日本では上下水道が整備されたことや、口移しの習慣も少なくなったことから、新たな感染は以前より大幅に減っています。しかし、幼少期に感染したまま何十年も気づいていない方が、今もたくさんいらっしゃいます。

 

感染するとどうなる?胃・十二指腸潰瘍・胃がんとの深い関係

ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起き続けます。この炎症が長年にわたって積み重なることで、胃の粘膜は少しずつ傷んでいきます。

ピロリ菌は世界保健機関(WHO)の関連機関により「明らかな発がん因子」に分類されています。胃がん患者の約99%にピロリ菌感染の既往があると言われており、胃がんはピロリ菌のいない胃にはほとんど発生しないとも言われています。まさに「胃がんの最大のリスク因子」がピロリ菌なのです。

さらに、ピロリ菌の影響は胃がんだけにとどまりません。胃潰瘍・十二指腸潰瘍のほか、胃マルトリンパ腫(胃に生じるリンパ腫の一種)や、血小板が減少して出血しやすくなる特発性血小板減少性紫斑病(ITP)との関連も報告されており、全身にさまざまな影響を与えることがわかっています。

やっかいなのは、感染していても自覚症状がない方も多いことです。一方で、胃もたれ・胃の不快感・みぞおちの痛みなどを感じている方もいます。「症状がないから大丈夫」も、「胃の調子が悪いのは体質だから」も、どちらも要注意。自覚症状の有無にかかわらず、感染していれば胃は静かに傷つき続けているのです。

 

清須市にお住まいの方へ:今年からワンコイン500円で検査が受けられます♪

嬉しいお知らせです。清須市では令和8年度(2026年度)より、ピロリ菌検査がワンコイン500円で受けられるようになりました!

対象者 :40歳以上59歳以下の方(初めて受ける方)

検査の内容 :血液検査(ヘリコバクター・ピロリ抗体検査)

受診までの流れ:受診するには、まず過去の受診歴を確認したうえで検診票を受け取る必要があります。

清須市役所 健康推進課(北館2階)へ まずは受診歴の確認と検診票の交付をしてもらいましょう。

指定医療機関へ予約 検診票を受け取ったら、指定医療機関に直接お電話でご予約ください。まえの内科クリニックでも実施しています。

検査当日 血液検査のみですので、体への負担も少なく気軽に受けていただけます。 

陽性だったら?

検査で陽性となった方は、そのままにせず、専門医への相談と必要な精密検査を受けることが大切です。なお、陽性だった年度は清須市の胃がん検診(内視鏡検査・胃部X線検査)は受けられませんのでご注意ください。

 

まえの内科クリニックでも実施しています

まえの内科クリニックでは、清須市の指定医療機関として500円のピロリ菌検査(血液検査)を実施しています。院長は消化器・内視鏡の専門医ですので、陽性結果を受けてどうすればいいか不安な方も、次のステップについて丁寧にご説明しますので、どうぞ安心してご相談ください。

なお、胃カメラ検査については現在準備を進めており、開始の際はあらためてお知らせいたします。どうぞお楽しみに。

患者さんお一人おひとりのご不安に寄り添い、安心して受診いただけるよう、スタッフ一同サポートいたします。まずはお電話またはご来院の際にお気軽にお声がけください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME