ピロリ菌が見つかったら? 〜除菌治療の流れと注意点〜
こんにちは。まえの内科クリニックです。
以前、2026年5月号では「ピロリ菌」についてご紹介しました。
「ピロリ菌って何?」という方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
▶あなたの胃に、ピロリ菌はいませんか?〜胃の中に潜む、小さな菌の話〜【2026年5月号】
今回は患者さんからよくいただく、「ピロリ菌はどうやって治療するの?」「除菌って大変なの?」というご質問にお答えします。
ピロリ菌を除菌するメリット
ピロリ菌を除菌する一番の目的は、将来の胃がんを予防することです。
世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、ピロリ菌を「発がん性がある(グループ1)」と認定しています。¹
日本では、ピロリ菌に感染している方の約20人に1人が、10年間で胃がんを発症したと報告されています。² 一方、国立がん研究センターの報告では、ピロリ菌を除菌することで、将来の胃がんリスクを約3分の1減らせることが分かっています。³
ただし、除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。そのため、除菌後も年に1回程度の胃カメラ検査をおすすめしています。
ピロリ菌はどうやって調べるの?
ピロリ菌の検査には、胃カメラで採取した胃の組織を調べる方法と、血液・呼気・便・尿などを使って調べる方法があります。
当院では、胃カメラ検査の際に行う迅速ウレアーゼ試験を主な検査方法としています。
また、清須市のピロリ菌検査では血清抗体法(血液検査)を採用しています。
さらに、除菌治療後の判定には尿素呼気試験を行っています。
どの検査にもメリット・デメリットがあり、胃酸を抑えるお薬を服用していると検査結果に影響が出たり、血液検査では過去の感染でも陽性となることがあります。 そのため、患者さんの症状や内服薬、検査の目的に応じて、最適な検査方法を選択することが大切です。
ピロリ菌の除菌治療を受けるには
ピロリ菌の除菌治療を保険で受けるためには、まず胃カメラで胃の状態を確認することが必要です。その後、ピロリ菌に感染していることが確認できれば、お薬による除菌治療を行います。治療の流れはこのようになります。
STEP 1
胃カメラ検査
胃の状態を確認し、慢性胃炎などを診断します。
STEP 2
ピロリ菌感染検査
迅速ウレアーゼ試験や血液検査などで、ピロリ菌感染の有無を調べます。
STEP 3
除菌治療(7日間)
感染が確認されたら、お薬による除菌治療を行います。
STEP 4
除菌判定検査
治療終了から約8週間後に、呼気検査などで除菌できたかを確認します。
除菌治療は1週間お薬を飲むだけ
「除菌治療」と聞くと、大変そうなイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、実際には1週間お薬を飲むだけです。
服用するのは、胃酸を抑えるお薬と、2種類の抗菌薬(抗生物質)です。これらを朝・夕の1日2回、7日間服用していただきます。お薬は1回分がまとめられたパック製剤になっているため、どのお薬を飲めばよいか分かりやすく、飲み忘れを防ぎやすくなっています。
ピロリ菌除菌の成功率は?
最初に行う一次除菌では、約8割前後の方が除菌に成功します。もし一次除菌でピロリ菌が残っていた場合は、抗菌薬の一部を変更した二次除菌を行います。一次除菌と二次除菌を合わせると、約97~98%の方が除菌に成功すると報告されています。
まれに、二次除菌を行ってもピロリ菌が残ることがあります。三次除菌以降の治療は保険適用外(自費診療)となります。その場合は、患者さんとご相談のうえ、必要に応じてピロリ菌診療を専門とする高次医療機関をご紹介いたします。
ピロリ菌除菌治療を成功させるための3つのポイント
① お薬は飲み忘れず、7日間飲み切りましょう
除菌を成功させるためには、お薬を決められた期間きちんと飲み切ることがとても大切です。飲み忘れや自己判断で中止してしまうと、除菌がうまくいかなかったり、お薬が効きにくい菌(薬剤耐性菌)ができる原因になることがあります。
② 治療期間中は禁煙をおすすめします
喫煙は、ピロリ菌除菌の成功率を低下させる可能性があることが知られています。日本ヘリコバクター学会「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版」でも、除菌治療中は禁煙することが推奨されています。
禁煙は除菌治療の成功率を高めるだけでなく、胃がんをはじめとするさまざまな病気の予防にもつながります。この機会に禁煙にチャレンジしてみましょう。
③ 二次除菌中は飲酒を控えましょう
二次除菌では、メトロニダゾールという抗菌薬を使用します。
このお薬はアルコールと一緒に摂取すると、頭痛、吐き気、嘔吐、腹痛、顔のほてりなどの症状を引き起こすことがあります。そのため、二次除菌治療中および治療終了後数日間は飲酒を控えてください。
副作用はあるの?
ほとんどの方は問題なく治療を終えられますが、下記のような副作用がみられることがあります。
軽い症状であれば様子を見ることが多いですが、気になる症状があれば、自己判断でお薬を中止せず、当院までご連絡ください。
ピロリ菌検査・除菌治療の費用はどのくらい?
ピロリ菌の検査・除菌治療は、一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。
※上記は3割負担の方の目安です。診察内容や検査内容により、費用は前後する場合があります。
まとめ
ピロリ菌除菌は、将来の胃がんを予防できることが科学的に証明されている数少ない予防法です。
当院では、胃カメラ検査からピロリ菌検査、除菌治療、除菌判定まで一貫して対応しております。
「ピロリ菌がいるかもしれない」「昔、ピロリ菌を指摘されたことがある」「除菌したかどうか覚えていない」など、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。スタッフ一同、皆さまのご来院をお待ちしております。
参考文献
- IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. Schistosomes, Liver Flukes and Helicobacter pylori. Lyon (FR): International Agency for Research on Cancer; 1994. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, No. 61.
- Uemura N, Okamoto S, Yamamoto S, et al. Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med. 2001;345:784-789.
- Lin Y, Kawai S, Sasakabe T, Nagata C, Naito M, Tanaka K, et al. Effects of Helicobacter pylori eradication on gastric cancer incidence in the Japanese population: a systematic evidence review. Jpn J Clin Oncol. 2021;51(7):1158-1170.

