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2価ワクチンって?一度かかったらどこまで無敵なの?子供のけいれん?

[2022.09.22]

公立陶生病院 感染症内科 武藤義和先生のコロナニュース第四弾です。

オミクロン株についての投稿はこちらから↓

オミクロン株について①

オミクロン株について②

コロナワクチンについての投稿はこちら↓

コロナワクチンと一緒に打っていいワクチンは?副反応は?

2価ワクチンがついにやってくるよー

二価?ニカ?悪魔の実の能力?まさかワンピースの正体って!?
・・・はい(自粛)、9月末から今までのコロナワクチンからアップデートされます。

もともとアルファの時から変異に対抗して常に新しいものを作る必要があるだろうといわれており、最初のワクチンはデルタまでにメチャクチャ有効でした。で、オミクロンが出たときに効果が落ちると言うことが明らかになり、早く新しいものを作らねばとなってホントに半年で完成しました。信じられない早さです。さすがmRNAワクチン。普通なら数年かかります。

二価ってのは「従来株+オミクロンBA.1用」の2つが混じったものという意味ですね。例えばインフルエンザも毎年打っているのは4価といってインフルAが2種類、Bが2種類入ってます。一粒で2度おいしいグリコみたいなやつ。

予防効果は抗体の上昇力で言うと

 

...なんかウイルスに対する抗体の上昇は従来品よりはいいみたい。でも実際の予防効果は実はまだわかんないんだー。まだこの情報がないの。多分従来品よりは有効なんだろうけどどのくらい差があるのかな。僕達が欲しいのはいかに高価な材料を使った料理か、て言う説明じゃなくて“おいしいか”なんですよね。

JAMA Netw Open. 2022;5(8):e2224657.
https://investors.modernatx.com
https://www.pfizer.com/news/press-release

 

でも今はやっているのはBA.5だよね

その通りです。BA.1は日本では1-2月頃に流行ったヤツでしたね。この夏はBA.5が中心で流行しました。いまもなお95%以上が既にBA.5になってます。

皆さんは「今さらBA.1のを打つのかね!」って思いますよね。君のような勘のいいガキは嫌いだよ。・・・ではなくて、BA.5用は出ないのですかと言う事ですね。

すでにアメリカではBA.5用についてファイザーもモデルナもFDAという国の機関承認を求めている状態になっていて、9月中にはそれらのデータが出ると言うことになっています。

それに伴って「従来型のワクチンはブースターに使用しない」ということも決めたそうです。つまり3回目以降は2価ワクチンのみにする予定みたいですね。

いたちごっこという事になるわけですが、この流れはいつまで続くんでしょうかね。個人的に思うのは「コロナに対して出来る事ってワクチンだけじゃないんだけどな。」と思いますがね。感染対策に加え、病気を正しく理解して、正しい治療や管理をどこでもできる事の方が大事な気もする夏の終わりです。

https://www.fda.gov/

(第100回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年9月1日)

 

一度かかったらどこまで無敵なの?

無敵って言う表現が医者としてどーなのと思いながら書いてますが、要するに感染後の抗体がどれだけ持続してくれるかですよね。
インフルエンザだと同一シーズンなら再感染は2%くらいあるかなという報告はありますが、コロナは次々顔を変えてくるから困りものです。

以下の表はポルトガルでのコロナの流行において、既往感染であることがBA.5感染にどのくらい感染予防効果があったかというものです。

初期株やアルファに感染したことがある人は未だに50%くらいの感染予防効果がオミクロンBA.5に対してあるようです。デルタにかかったことがある人は、かかったことがない人より61%くらいBA.5にかかりにくいと言う事ですね。で、BA.1やBA.2にかかったことがある人は、かかったことがない人より75%もかかりにくい。ワクチンを打っているとさらにかかりにくい。と言う事でした。でないと困りますよね、感染して辛い思いしたのに、次の変異が出たらハイやり直しって言われても。。。


他のデータでは、デルタまでの感染歴ではオミクロンBA.2への感染予防は28%くらいしかないっていうものもあり、時間とともに低下していくのは間違いなさそうです。BA.5感染後は?っていわれると、まだデータはないですが、今まで通りなら数ヶ月は同じ感染はレアケースと考えたいですよね。ちなみに一部界隈がプッシュしているBA.2.75(ケンタウロス)とかいうのとBA.5は、どちらかに感染すればもう片方には感染しにくいそうです。

doi: https://doi.org/10.1101/2022.07.11.22277448
Int J Infect Dis . 2022 Jul;120:135-141.
August 31, 2022 DOI: 10.1056/NEJMc2209479

子どもはけいれん起こしやすいの?

「インフルエンザよりは」けいれんを起こしやすいです。

今コロナで全国的に入院が必要な集団の第1位は圧倒的に「高齢者施設居住者の誤嚥や痰の増加後の肺炎」ですが、他に入院を要するケースっていうと、もちろん重症者もそうですが、オミクロンで目に見えて増えたのは「子供が痙攣した」です。

例えば日本のデータではデルタ時代と比較した論文は

熱が出てすぐに痙攣しているというケースが多いです。

海外の報告でも
・5歳以下の入院が圧倒的に増えた。(3倍以上)
・熱がデルタより高い(38.5°C vs 39.2°C)
・下痢や食思不振例も増えた
・でも酸素投与が必要な重症例は減った
という報告が出ています。

入院する子の10%-15%くらいは痙攣と発熱を主訴に来院していたという報告もあり、インフルエンザの痙攣頻度の2-3倍くらいだと言うことでした。個人的な印象でも、今入院する子供は0-5歳頃で39°C-40°Cの発熱で発症した子がその日か次の日に痙攣して、救急車で搬送されて入院となる(でも数日で元気に退院)というケースが多い感じです。

小さいお子さんをお持ちの方は、感染したお子さんの「高熱と痙攣」に注意を!!

Emerg Microbes Infect . 2022 Dec;11(1):1742-1750.
Acta Paediatr . 2022 May;111(5):1023-1026.
Journal of the Pediatric Infectious Diseases Society, piac085.
Front Pediatr . 2022 Aug 2;10:898463.
J Infect Chemother . 2022 Aug 10;S1341-321X(22)00230-6.

 

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