子宮頚がんワクチン
子宮頸がんは、ワクチンで予防することができるがんです。日本では、年間約10,000人の女性が子宮頸がんにかかり、3,000人ほどの方が命をおとしています。社会で活躍している若い世代での死亡率が高く、多くの方が子どもを残して亡くなることから、別名「Mother Killer Disease(マザーキラー病)」と呼ばれています。ワクチンの接種と定期健診で子宮頸がんの発症をかなり抑えることができますので、ぜひ、ご自身や、お子さま、お孫さまにも伝えていただき、活躍する女性の命が守られるように願います。
子宮頸がんとは
子宮頸がんの95%はHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因です。HPVは200種類以上ありますが、このうち子宮頸がんの原因となるのは13種類です。中でも、16型と18型が子宮頸がんの原因の65%を占めており、ワクチンで予防ができます。
HPVは性感染症のウイルスであり、男女ともに感染します。性交渉の経験がある女性の50~80%が一生に一度は感染すると言われていますが、ほとんどのウイルスが2年以内に排除されます。正常の免疫機能がある女性が持続感染した場合は、15~20年で子宮頸がんになると考えられています。
感染予防のためには、初めて性交渉する前の10代前半に接種するのが最も有効と考えられていますが、性交渉の経験がある方も接種により予防効果が認められています。また、尖圭コンジローマ、中咽頭がん、肛門がんの予防効果があることから、海外では男子にも接種がすすめられています。(日本では、4価ワクチンのみ男子で認められています。)
オーストラリアではHPVワクチンの接種と子宮頸がん検診がすすんでおり、2028年には子宮頸がんが10万人あたり4人以下の珍しいがんになる、という予想もでています。
子宮頸がんを予防するには、ワクチン接種と、20歳以上の女性は2年に1回の子宮頸部細胞診が推奨されています。ぜひ一度、ご家族と一緒にワクチンの必要性について考えていただきたいと思います。
無料接種の対象者
子宮頸がんワクチンは定期接種が行われており、対象の方は無料で受けることができます。
〇次の者のうち、接種未完了者
・小学校6年生から高校1年生に相当する年齢の女子
・平成9年度から平成19年度生まれの女子(キャッチアップ接種の対象)※実施期間:令和7年3月末
標準的な接種時期は中学1年生です。
詳しくは、清須市HPへ
当院のワクチン接種料金
・定期接種:無料
・ガーダシル(4価):16,000円/回
・シルガード9(9価):28,000円/回
予約方法
事前にお電話(052-401-2600)もしくは窓口でご予約をお願いいたします。
*ネット予約はできません。
子宮頸がんの予防効果
現在、子宮頸がんワクチンには2価、4価、9価の3種類のワクチンがあります。数字は、カバーできるHPVウイルスの数を表しています。当院では4価のガーダシル、9価のシルガード9を採用しています。
4価(ガーダシル)の場合、6型、11型、16型、18型の4つの型に対応しており、子宮頸がんリスクを約65%低下させるという報告があります。
9価(シルガード9)の場合、子宮頸がんリスクを約88%低下させることができます。カバーしている価数が多いほど、予防効果が高くなります。
接種方法
上腕に筋肉注射(新型コロナウイルスワクチンと同じです)
接種スケジュール
ガーダシル
3回接種
①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
シルガード9
初回時の年齢によって接種回数が違います。標準的な接種時期は中学1年生です。
【9歳以上15歳未満】
2回接種
①初回
②初回から6~12か月後
【15歳以上】
3回接種
①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
ワクチン効果の持続期間
子宮頸がんワクチンは、世界的にも接種が開始されてまだ比較的新しいワクチンであるため、確定的に「何年間有効です」という調査結果は出ておりません。
しかし、ガーダシル(4価)は、初回接種後少なくとも 6 年間の持続が確認されています。また、モデルによるシミュレーションでは20~30年間にわたる抗体価の持続が推定されており、規定の接種方法であれば、終生の免疫が得られる可能性があります。
主な副反応
子宮頸がんワクチンには上記のような副反応が報告されていますが、「他のワクチンと比べて発症頻度が特別高いわけではありません」。どんな種類のワクチンにも起こる可能性がある症状であり、発生頻度も同程度です。
性交経験がある方のワクチン接種効果
性交経験によるHPV感染によって、ワクチンの予防効果は低下してしまいます。すでに感染しているHPVに対する効果は、ワクチンにはないためです。しかし、まだ感染していない、これから侵入してくるHPVの感染対策にはなるため、性交経験がある場合でも、ワクチンの予防効果がなくなってしまうわけではありません。海外の研究では45歳以下の女性で効果が確認されているため、45歳以下の方であればワクチンの効果は期待できると考えています。
男性の接種
現在、日本ではHPVワクチンとしてガーダシル(4価)のみ男性への接種が認められています。しかし、残念ながら公費助成はなく、「全額自己負担」となります。接種年齢は12~13歳が最も適しており、26歳までの接種が推奨されています。
HPVワクチンは、「子宮頸がんワクチン」としてよく知られているため、男性への接種は不要と思われがちですが、世界的には男性にも重要なワクチンと位置付けられており、オーストラリアでは88%、アメリカでは64%の男性が接種していると報告があります。
男性にもHPVワクチンの接種を勧めている理由
①HPV感染症は性感染症である
男性でもHPVに感染します。性的接触により男女問わず感染していくため、パートナーに広げないためにも男女問わず予防が必要になります。
②肛門がん、陰茎がん、直腸がん、咽頭がんの予防になる
HPV感染症が関連しているがんは子宮頸がんだけではありません。男性に多い種類のがんの発症を予防することができます。
③尖圭コンジローマの予防
性器のいぼである、尖圭コンジローマの予防になります。発症すると根治は難しく、再発を繰り返すため精神的ストレスの大きい病気です。
よくある質問
Q.友達がワクチン接種後に倒れたそうです。大丈夫でしょうか?
ワクチンを筋肉注射すると、痛みによる迷走神経反射を起こし、まれに失神する事があると報告されています。これまでに、採血や注射で気分が悪くなったり、倒れたりした事がある方は、横になった状態で注射をしますのでお知らせください。
Q.小6~高1まで公費が使える期間がありますが、いつ打てばよいですか?
HPVワクチンは、感染後は予防効果が低下してしまいます。性交渉の開始時期は、残念ながらいつでも自分で選べるとは限らないため、接種時期はなるべく早い方がよいでしょう。早く打つことによるリスクはありません。ご本人がワクチンについてきちんと理解できる年齢が適齢でしょう。
Q.ワクチンを打ったのにがんになる事はありますか?
ワクチンを打っても、がんを100%防ぐことはできません。ワクチンはすべての高リスク型HPVの感染を予防できるわけではないため、早期発見・早期治療のために子宮頸がん検診も定期的に受診することが大切です。
Q.信頼できる分かりやすい資料はありませんか?
厚生労働省から出ている一般向け基本情報が信頼性が高く、分かりやすいと思いますのでご参考にしてください。
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