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風邪薬より効く?科学が認めた天然食材【2023年11月号】

[2023.10.16]

最近、めっきり寒くなってきましたね。毎年、年末にピークを迎えるインフルエンザも、今年は8月からチラホラ出現し、9月には学級閉鎖が出るほどの流行となっています。インフルエンザやウイルス性の風邪が増えている中、各医療機関にはこんなお知らせが届きました。

「咳止め・去痰薬の在庫逼迫による協力依頼」

えー!

咳を止めたくてクリニックを受診する患者さんは少なくありません。そんな方に対して、必要な咳止めの処方箋を出せないのは大変心苦しいのです。ですが、そもそも風邪を引いた時、本当に風邪薬は必要なのでしょうか。

風邪の90%以上は抗生剤が効かないウイルス性の風邪です。抗生剤は風邪に効かないだけでなく、耐性菌という、抗生剤が効かない強い菌を作ってしまうため、普通の風邪には使いません。風邪ウイルスに感染すると、私たちの体は、鼻水や痰でばい菌を包んで、咳の勢いで体の外に出そうとします。咳は、私たちの体から風邪ウイルスを排除しようと頑張っている大事な症状なのです。日本の10、20年先を行くというアメリカの医療界では、すでに市販の風邪薬が禁止になっています。風邪を治す効果よりも、副作用のリスクの方が大きいためだそうです。

では、風邪を引いたらどうすればよいのでしょうか?・・・はい、放っておけばよいのです。

ええっーーー!!!

痰切れの薬を飲んでも、咳止めの薬を飲んでも、抗生剤を飲んでも、治る時間は変わりません。高熱もなく、夜も寝れており、食事もほどほど食べられる程度の風邪症状であれば、あったかい家の中でゆっくり休むことで、自分の免疫が頑張って治してくれます。風邪薬をもらえなくても慌てる必要はありません。

とはいっても、そうは言っても、分かっていても、咳を止めたいとき、あります。

抗生剤は風邪に対して不必要と分かっているけれど、患者さんは困って医者を頼っているし、風邪薬の他に勧められる効果的なものはないかと、世界中で研究がされています。その中で、数多くの研究者が風邪薬よりも咳を止める効果があると認めている食べ物があります。

「はちみつ」

 

昔から子どもの咳には有名なお話で知っている方も多いのではないのでしょうか。私も先日、風邪を引いた時にはちみつをスプーンに1杯なめてみたところ、傷んだ喉にはちみつが潤いを与えてくれるような感じがあり、しばらくの間楽になりました。(*1歳未満のお子様には与えないでくださいね。)

また、大人に対しては、

「はちみつ + コーヒー」

が効果的であるという論文もあります。イランの大学病院で研究されていますが、お湯にインスタントコーヒーとはちみつを混ぜ、8時間ごとに1週間飲み続けたところ、コーヒー+ステロイドよりも、コーヒー+咳止めよりも、効果が高かったそうです。コーヒーには気管支拡張作用や抗炎症作用があるためと言われています。

また最近では、山田養蜂場が世界で初めてはちみつの咳止め成分を同定したという発表もあり、はちみつの秘密は日々研究されています。病院ではちみつのお薬が処方されるようになったら、おもしろいですね。私も今度、咳が続いたら、コーヒーはちみつに挑戦してみたいと思います。

                                  渡邉ともこ

 

参考文献:

・Honey plus coffee versus systemic steroid in the treatment of persistent post-infectious cough: a randomised controlled trial.
Prim Care Respir J. 2013;22:325-330.Raeessi MA, et al.

・ Identification of a New Pyrrolyl Pyridoindole Alkaloid, Melpyrrole, and Flazin from Honey and Their Cough-Suppressing Effect in Guinea Pigs 著者:谷 央子1、山家 雅之1、関谷 知樹2、礒濱 洋一郎2、越野 広雪3、野川 俊彦3、八巻 礼訓1、高橋 俊哉3

 

 

 

 

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