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絶対忘れない!低血糖の[はひふへほ]【2024年4月号】

[2024.03.05]

 

低血糖ってどんな状態?

糖尿病の治療中の方は、血糖値をちょうどよい値に下げるために、血糖を下げる薬を飲みます。薬の効果が強すぎると、血液の中の糖が少なくなり、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。これを「低血糖」といいます。低血糖は一般的に血糖値が70mg/dl未満の状態をいいます。

 

糖が足りないとどうなるの?

血液の中の糖が足りなくなると、「脳」が働かなくなります。私たちの脳は、糖のみをエネルギーとしているためです。脳が働かなくなると命の危機ですので、私たちの体は「血糖値が下がってきたよ~!」「お腹がすいたよ~!」と、一生懸命、糖を上げようと脳にお知らせします。

 

お腹がすいてきたら、食事をとって血糖値を上げればよいのですが、仕事中、授業中、お出かけ中など、すぐに食事をとれない時もありますよね。そのため、私たちの体には、「低血糖を防ぐ自動調整機能」が備わっています。

低血糖にいち早く気づき、血糖を上げようと反応するのは、交感神経です。交感神経は、副腎からアドレナリンというホルモンを出します。アドレナリンは、肝臓に貯められている糖を血液の中に送り、血糖値を上げます。アドレナリンは、血糖値をあげてくれますが、同時に、発汗、神経過敏、ふるえ、失神、動悸、空腹感など不安症状に似た症状も起こします。

アドレナリンって?

アドレナリンは腎臓のすぐ近くにある小さな副腎という臓器から出るホルモンです。

アドレナリンは、何か重大な危機に遭遇したときに、戦うか逃げるかの準備を整える「逃走・闘争反応」に関連するホルモンの一つです。想像してみて下さい。ハイキング中に大きな熊と遭遇しました。どうする?

恐怖を感じて一目散に逃げるか、奮い立って闘うか、ですね。

アドレナリンが分泌されると、不安を感じ、冷や汗が出て、体が震え、血圧が上がり、心拍が速くなり心臓がドキドキしてきます。また、消化管機能を犠牲にして筋肉や脳へ多量の血液が送られるため、お腹が空きます。アドレナリンの作用により、熊に対する不安や恐怖に対して体と脳が戦闘モードに切り替わり、生きるために強力な力を発揮できるようになります。

アドレナリンでも血糖値が十分に上がらなかったらどうなる?

アドレナリンは、血糖値がおよそ70mg/dl程度まで下がると出てきます。アドレナリンが分泌されると、血糖値も上がりますが、逃走と闘争に関わる症状も出てきます。冷や汗や震え、動悸などは自分でも気づけるため、体が「低血糖になっていて危ないよ~」とSOSを出しているサインでもあります。

この段階で、低血糖に対応しておくことが大切です。

しかし、アドレナリンの作用が弱いと、十分に血糖値が上がらず、よりひどい低血糖になってしまう場合があります。脳はブドウ糖を唯一のエネルギーとしているため低血糖に非常に弱く、血糖値がおよそ50mg/dl程度まで下がると、脳の機能が低下します。頭痛や目のかすみがあらわれ、計算や会話、理解することが難しくなります。さらに血糖値が下がると、日にちや時間が分からなくなり、目も開けていられない状態になります。血糖値が30mg/dl程度になると、意識がもうろうとし、大きな音を出しても、強く叩いても、起きなくなります。

 

 

絶対に忘れない!低血糖症状の覚え方「はひふへほ」

低血糖になると、様々な症状が出てくることがお分かりいただけたでしょうか。症状の現れ方や感じ方、低血糖症状が起きる血糖値には個人差があります。自分の初期症状を理解してすぐに対応できるように、普段から備えておくことが大切です。

特に、災害時には食事が不規則であったり、重労働をしなくてはならなかったりと、低血糖が起こりやすくなります。

簡単に覚えられる低血糖の「はひふへほ」をご紹介します。早めに対処できるように、低血糖症状を覚えておきましょう。

「は」腹が減り

「ひ」冷や汗

「ふ」ふるえ

「へ」変な行動

「ほ」ほうっておくと意識もうろう

 

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